人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Macと音楽と木工と . . .

ditzyzesty.exblog.jp
ブログトップ
2011年 05月 02日

ギター加工さまざま。

16日に拭漆した大阪S様のウォールナットボディのストラトモデルが、案の定乾きません。
前回拭き取り後。
ギター加工さまざま。_e0220506_2015743.jpg

ウォールナットの色を生かすためかなり希釈しましたが、温度湿度ともに足りないため乾ききれない。
このままにしておいてももう乾かないので、強制終了ならずに強制乾燥と相成りました。

ここで秘密兵器!!(画像が直立不能です)
酢酸アンモニウム(良く分からないけど、わざわざ1級とうたうからには、特級も2級もあるのか?)
ギター加工さまざま。_e0220506_20263192.jpg

前回も書きましたが、クルミ、ウォールナット、ナラ、クリなどの木質にタンニン成分を多く含む材は、漆が乾きにくいのです。

事実、4日前に拭漆したタモのシンラインモデルは、同じ希釈の漆でも昨日にはカラカラに乾いています。
塗装直後。
ギター加工さまざま。_e0220506_20342138.jpg

本日。
ギター加工さまざま。_e0220506_2038565.jpg

少し黒ずんでいますが、希釈しないともっと黒茶色になってしまいます。

それで酢酸アンモニウムですが、本来は何に使用する薬品かは分かりませんが、これを使用すると漆が良く乾燥します。(あまり知られていないはず)
漆が乾燥しづらい冬期に漆に1〜3%直接混入して用います。
効果は凄くて、あっという間に真っ黒に。
どんなに乾かない漆でも強制乾燥です。
でもこれを混ぜると色が黒ずむので好きではありませんが、若い時仕事が間に合わず良く使いました。
お客様のお宅で「漆なので、後日明るいきれいな色になりますから」とごまかしたっけ. . .

でもせっかくのウォールナットの色を黒くするのが嫌なので、こういう時には酢酸アンモニウムを水で溶かして20%の溶液を作り、まんべんなくその溶液で拭きます。
ギター加工さまざま。_e0220506_20521844.jpg

こうすると無理なく半日ぐらいで完全に乾いてくれます。
もちろん色もそのままで。


宮崎のT様、ヤフオク出品の最初の頃のお客さまです。
YAMAHAのSJモデルのボディ形にしたのですが、「重いので何とかなりませんか?」
どうにでもなります、そんなことは製造責任の範囲で、想定外などと逃げたりしません!!
トップはメープル1ピース。
ギター加工さまざま。_e0220506_2111469.jpg

バックはホンジュラスマホガニーセンター2ピース。
自分で言いますが、矧ぎがうまい!!
ギター加工さまざま。_e0220506_2115515.jpg


メープルの力が強く反りが出て、マホガニーが引っ張られているため、丸鋸で切れ目を入れておきました。
ギター加工さまざま。_e0220506_2162025.jpg

残念ながら1日たっても全然変わらず。
バンドソーで挽く前に裏側を仮に平面状にする。
ギター加工さまざま。_e0220506_2181527.jpg

それでゆっくり挽き割りますが、
ギター加工さまざま。_e0220506_2185751.jpg

0.5mmほど食われてしまいました、こいうのが一番くやしい。
ギター加工さまざま。_e0220506_21102977.jpg

このあと、薄くなった分としてウォールナットを間に入れ、セミフォローボディにします。


Slide ONE様の変形SGモデル。
まず型を作り(図面はお客様のご提供)、メールで確認(便利な世の中です、でももはやネットなしには生存不能となってしまいました)
ギター加工さまざま。_e0220506_2139252.jpg

ご了解を得てから、希少材のホワイトリンバをバンドソーで切り出しますが、希少材で貴重材、代替不能とあっては失敗してもお金で購うわけにはいかないので、緊張のあまり手が震えます、ぶるぶる、ぶるぶる。
ギター加工さまざま。_e0220506_21442991.jpg

カッタウェィの切れ込みはバンドソーで切断しやすくするためでしたが、結局スクロールソーで易々と切断出来ました。
その後フォローボデイのための空洞を2カ所フォスナービットでボーリング。
それとバックキャビティをやはりスクロールソーで。
ギター加工さまざま。_e0220506_2149349.jpg

反りがでるのを見越して2mm厚めになっていますが、全く狂いそうにありません。
不思議な木です、かなり油分が強くチークと似ていますが、刃物はいためません。
香りも全くチーク材のようです。
スクロールソーで40mmはかなりきついのですが、難なく出来てしまいました。

フォスナービットのあとは、ルーターできれいにしようと考えていましたが、鑿による手加工にしました。
ルーター加工は「苦手な木工作業5つ」のうちの一番目です。
材が柔らかいので楽々です、鑿は日本製のバイオリン鑿。
ギター加工さまざま。_e0220506_2273213.jpg

こいう作業が特に好きです。
ギター加工さまざま。_e0220506_223779.jpg


今度はトップの木取りについてメールで確認。
ギター加工さまざま。_e0220506_2292286.jpg

どちらにしようかな?

ギター加工さまざま。_e0220506_2210222.jpg

やはり考えは同じで最初のほう。
木取りで迷うのも大好きで、納期さえなければ1ヶ月でも迷っています。
なので当然家具作りには向いていなかったような. . .
ギター加工さまざま。_e0220506_221124100.jpg

カッタウェィの形に木目が沿っています。

この木はブビンガと思っていましたが、オーストラリア産なのでブビンガではないそうです。
でも香りはブビンガそっくり。
自分だけオージー.ブビンガと呼ぶことにします。


明日はC県のY様のマホガニー材を少しだけ削ります。

by ditzyzesty | 2011-05-02 22:27 | ギター


<< 毎日希少材。      シンライン拭漆、ホワイトリンバって? >>