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2011年 04月 29日

シンライン拭漆、ホワイトリンバって?

昨日はバインディングの終わったテレキャスターシンラインモデルの拭漆を。

タモ杢2ピース。
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fホール、Fenderのハムバッカーが2個にシングルコイル、ノーマルタイプのコントローラーパネルにストラトタイプのトレモロ付きで、バインディングといったかなり変則的な仕様です。

バックはタモの一枚板。
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拭漆は木目が目立たないように、というのがお客さまのご希望ですが、拭漆で木目を目立たなくするのはメープル等の導管のない木なら簡単ですが、タモやナラ等木目のはっきり見える木は非常に難しい。
(漆の性質からすると二律背反になるのか?)
さあどうしよう?!
取りあえず薄〜〜く漆を塗って乾く間に考えよう。

でも、実はもう秘策は考えてあります。
長い間保存しておいた漆が役に立ちそうです。
どんな物も捨てられない性格が、今回幸いするに違いない。
(捨てられないどころか、後から後からもらってきてゴミ屋敷状態)


しばらく前にSlide ONE様から、ホワイトリンバという木材が届きました。
これはギブソンのフライングV、エクスプローラーに使われた有名なコリーナウッドの正式な名称。
一応、希少材とは分かっていたのですが木目を見ると、往年のホワイトラワンや日本のネムノキみたいな感じで全然高級感がない。
桑原さんもそう思うでしょう?(無理にコメント求めています)

どうしてこんな材が希少材?!
(ブラックリンバが一般的で、ホワイトリンバはより少ないらしい)
失礼ながらSlide ONE様、本当にそう感じました。
でも無知は恐ろしいことが、徐々に分かることに。

センター2ピースで木取り済み、幅345mmX長さ480mmX厚み45mm。
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板目が上下に散っていますが、追い柾の木を辺材どうしで接いでいるから。
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せっかく接いでありますが、こういう接ぎ方は家具を作る感覚からすれば、違和感が大きい。
メールで相談したところ『そうですね、直してください』

直しました。
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木目が細かいので分かりづらいのですが、これで板目が中央に揃って座りがいい!!
木口面から。
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木目のズレはありますが、あたかも1ピースのよう。
こういう接ぎにすると、木材は普通の一枚板のような性質になってくれます。
反りも中央にきます。

今日裏表とも鉋をかけ、少し休ませておきます。


ホワイトリンバがどんなに希少かというと、GibsonにおいてフライングVは98本、エクスプローラーは22本のみしか制作されなかったそうです。

本箱から探しました。
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捨てる事の出来ない性格が、こんな時役に立つようです(自画自賛!!)
この76年の楽器の本の中に。
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次は別な本から。
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文字が小さいですが、「コリナ.ウッドのナチュラル仕上げで、トップはバーベキュー仕上げとなっていて. . .」とあります。
ホントに焦がしたのか、経年変化でこうなったのかは分かりませんが、風格が漂っています。

次はCheap TrickのRick Nielsen。
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2本所有ではなく、写真の角度のせいです。
いつでも目ん玉剥いてます!

次は懐かしのRick Derringer。
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中央に縄目のような杢が。

美少年ギタリストで有名でした。
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徐々に。
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現在のお姿、64歳(人のことは言えませんが)
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Bassを持っていますが、汐崎さんこのBassは何?(Bassのことなら汐崎さん。棲み分けしてますので)

別な本から。
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ボディ右下にうっすらと杢が出ています。
飴色が美しい!!
でもこれは経年変化で奇麗になったんであって、加工前の木材として見たら. . .

希少材だけあって検索でも、ホワイトリンバの情報はあやふやな感じです。
でもギター材としての音は、「高音域はマホガニーを凌ぐ」とありました。
やはり相当良い木なんでしょう。

仕方ないので植物学的に調べました。
バラ亜綱、フトモモ目、シクンシ科となります。
シクンシ科はシクンシ属、モモマタナ属、ヒルギモドキ属、その他14〜20属に分かれますが、ホワイトリンバがどれに属するのかはどうも良く分かりません。
(英文での検索結果を調べれば分かると思いますが、英語は苦手なので)

気になるのが、このシクンシという文字。
最初シクンシは「四君子」かと思いました(君子が4人もいたら、普通の人はさぞかしたいへんに違いない)
でもシクンシは「使君子」で、その意味は「四方の国にさしつかわされた天子の使者」。
シクンシの植物名はそれから来ていて、「天子からつかわされた使者のような薬」」で、「天子が民の無病息災を願って賜った貴重な薬」ということらしい。
何に使うかというと、回虫やギョウ虫の駆除薬(天子から賜る薬が駆除薬とは何とも、もう少し上等な使い道はなかったんだろうか?)

それでいろいろ調べましたが、どうもモモマタナ属モモマタナがホワイトリンバに近いようです。
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材は硬く建築用材、家具用材とあります。
沖縄、小笠原諸島にも生えていると。
でも沖縄も小笠原諸島も行った事ないし、友人もいないし. . .


肝心のホワイトリンバに戻します。
ホワイトリンバは「アフリカ原産で樹高45Mにもなる木」とありますが、45Mにもなるなら1本の木でかなりの材積になるはず。
という事はホワイトリンバそのものの個体数が、相当少ないのか。
Slide ONE様、いったいどうやって入手なさったのでしょうか。

そのホワイトリンバですが異様に重い!!
これは何だと思い、比重を計算しました。
幅345mmX長さ480mmX厚み45mm、4.260gなので比重0.61。
0.61ならそんなでもないですね。
何だろう、この重量感. . .
どうして重く感じるかはたぶん、見た目ホワイトラワンなので軽いのだろうと思って持つと、意外だからでしょうか。

ついでなので水分率を。
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これは何とも楽器材として理想の含水率!!
良く乾燥しています。

念のため水分率を測定するための、校正の表を見ました。
日本の水分率計の販売業者が手抜きで作った表。
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リンバの文字ありません。

ところが、製造元の英文の表には。
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右、下から2番目にLimbaがグループ3で。
しかし私は正確に体積と重量から比重を出して、グループ4で計測したため正確無比です(あいかわらず自分で言ってます)
この表にLimbaがあるからには、木材として一般的に流通していたことになります。
どっかのイギリスあたりの貴族の館で、暖炉に使われていたりして(ブライアン.メイのマホガニー材のように)


こんなに長く書いても、ホントのところは何も分からずじまい。
分からないくらいのが、ギター材としてはミステリアスでいいですね。

最後にもう一つ気になる事。
シクンシ属が「使君子」属なら、フトモモ目は「太腿」目?
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by ditzyzesty | 2011-04-29 21:46 | ギター


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